バターを塗ったトーストはバターの面を下にして落ちる、それは間違いない。 [娘と]
その法則は災難を引きつける能力を持つ僕にとっては当然の事であり、それ以外の選択肢なんてものは無いのだ。
他の選択肢があるなら誰か教えてくれ。
時と場合によっては、奇跡的にバター面を上にして落ちたトーストを拾おうとしてバランスを崩し、あろう事かトーストの上へ足を一歩踏み出してしまうという惨劇さえ当然のこととして存在するのだ。
そう、不安感は必ず良からぬ方へと転がっていく。
それは生まれてこのかた感じたことの無かったほどの不安感や切迫感やあれやこれや様々な物を伴ってやってきた。
21時40分僕は関空から到着するリムジンバスを待っていた。
娘が“海外への修学旅行”という贅沢極まりない愚行から帰ってくるのだ。
定刻通りに到着したリムジンバスに娘の姿は無かった。
携帯も繋がらない。
どうすることもできずに暗闇で不安感と戦っているうちに30分が過ぎていった。
そのとき携帯が繋がった。
「すみませ…〜ん、リムジンバス乗り 間違えましたぁ。」
怒髪天を衝くとはまさにコレ。深い安堵感なんてものは一周廻ってどこへやら。
ま、いくら災難を呼び寄せる能力を持っているとはいえ、そうそう破壊力満点なのは来ませんよ と。
そう思いたいのだ。
おかえりなさいませ。
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