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暗闇は光よりも早い [Books]

なぜなら暗闇はいつも光の前にあるから。

エリザベス・ムーン著 『くらやみの速さはどれくらい』 (ハヤカワ文庫SF)

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僕の友人の息子に自閉症の子がいる。
彼は僕を“師匠”と呼ぶ。
たまに遊びに行くと、玄関に飛び出してきて「師匠!どうぞ!どうぞこちらにっ!!」と下にも置かない扱いだ。
ことの始まりは、彼が趣味とする様々な事柄全てに対して僕がよどみなく答えたからだ。
良く言えばサブカルに強い。ということだが、ようするに筋金入りのオタクであるという事なのだろう。

…いや…実はコドモごときには負けない(それはコドモよりは長く生きているから)程度の、オタクのかざかみにも置けない中途半端野郎なのだが。

彼に出会ってから、自閉症児の様々な思考形態を初めて知った。

と、長い前置きがあって、この本を手に取った訳だ。

自閉症の子を持つ母であるがゆえの目線で紡がれる物語です。
自閉症のルウ(35歳)の目を通して語られる周りの世界。
そのルウが常に考えていることが「暗闇の速度」だ。
「知らないということは知っているということより速い速度でひろがる」
「それゆえ暗闇の速度は光の速度より早いかもしれない。光のまわりにいつも暗闇があるのであれば、暗闇は光の先へ先へと進んでいかなければならない」
ルウが言ったこの言葉が僕の琴線に触れた訳です。


実は友人の家を訪れるときは、常に彼の“今夢中になっているもの”をリサーチして、
師匠に解らない物などあるわけが無い!と、大風呂敷を広げて横柄な態度で出かけている。
なんせ“師匠”だからな。

追いつけない暗闇があろうと光は進み続けるのだ。



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マスター パンダ

番頭さん、こんばんは。

番頭さんも師匠ですね。その子は悲しいです。

I hope he will get better later...


by マスター パンダ (2009-02-14 00:10) 

PS-STUDIOの番頭

彼は底の浅い僕なんかより、もっとはるかに奥深く繊細で哲学的なのだ。
驚かされるよ。


by PS-STUDIOの番頭 (2009-02-14 00:45) 

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